2021年2月に入ってからの変化
2021年2月に入ったところで、米国の10年債利回り: いわゆる「長期金利」がスルスルと上昇しています。

一方で、比較的変動性の高いグロース株と呼ばれる銘柄が多い、米国NASDAQ市場の主要100社の指数であるNDX: ナスダック100指数を見てみます。
ちょうど上記の長期金利上昇に弾みがついた2月12日ごろを境に下落傾向にあります。

各所でよく「長期金利と株価はシーソーの関係にある」と言われるように、実際にグラフの推移を見ても、やはりその関係がありそうなことがわかります。
…なんですが、これ「確かに見ればわかるけど、いや、何で?」となりません?
あんな要素やこんな要素が入り交じる市場なので一概にコレ!とは言えないとは思うものの、とりあえず腑に落ちるまで「何故こうなっているのか」を調べてみようと思います。
発端はバイデン大統領の追加経済対策
まず金利とは、簡単に言うと貸したお金を踏み倒される: 回収不能になるリスクのことです。
このリスクが高ければ高いほど、それに見合ったリターンがあれば、お金を貸す側にはメリットがある、となります。
これを国債に置き換えると、米国へお金を貸す際にどれだけそれが失われる可能性があるか、が金利に繋がってきます。
ここで、直近のニュースを見てみましょう。

バイデン大統領は1月20日に新政権を発足されて以来、一貫して約200兆円規模の追加経済対策の策定に取り組んでいます。
これがドルの刷り過ぎ・国家の財政破綻のリスクと見なされつつある、と捉えることができます。
このため、金利の上昇が起きています。
長期金利の上昇による株価の下落の心理
ここで、株式投資家の目線に立ってみます。
長期金利が上昇し、ある程度のラインを超えてくる。特に節目となる 2% や 3% を超えそうになると
「じゃあ株買わなくても国債買えば十分リターンが得られるじゃん!株売って国債買うかぁ」となります。
あえてリスクを取ることによって大きなリターンを得るための材料となっていたグロース株や小型株から、資金が安定的で、しかもある程度のリターンがある国債に流れる、つまり株が売られて株価が下がる、ということになります。
まとめ
2021年2月になってから、いわゆる一般的な長期金利の指標とされる米10年債利回りが上昇し、それに連動するような形でナスダック100指数が下落しています。
これは米国へのリスク懸念が高まったことから始まり、多くの投資家全体の心理が「リスクが高いと入っても国債買っておけばそこそこのリターンが得られるなら、株売って国債買うかぁ」となっていることが原因の一つになっていると考えられます。
もちろんこれだけが原因ではなく、あらゆる原因・要素が入り混じった結果、今の状態になっているとも言えるとは思います。
ただ、今の状態を整理する一つの軸にはなりうる考え方ではないか、と私は思います。